アメリカスポーツ医学会の対症別運動方法のガイドライン
ACSM's Guidelines for exercise testing and prescription 7Th Edition 2006
※ACSM… The American College of Sports Medicine (アメリカスポーツ医学会)

注)Valsalva・・・息を止めて力むこと、息こらえ、いきみ
アメリカスポーツ医学会の一般的運動方法のガイドライン
ACSM's Guidelines for exercise testing and prescription 7Th Edition 2006
※ACSM… The American College of Sports Medicine (アメリカスポーツ医学会)

一般的な運動プログラムの一覧
運動
プログラム
頻度強度持続時間運動内容
心肺系
3〜5回/週
55%/65%〜90%HRmax
12~16RPE
20~60分
大筋群の動的運動
レジスタンス
2〜3回/週
最大筋疲労(RPE19〜20)
または最大の2〜3回前(RPE16程度)
1セット3〜20回(3〜5、8〜10、12〜15回など)
すべての大筋群を含む8〜10種類
柔軟性
週に最低2〜3回、できれば5〜7回
痛みのない可動域ぎりぎりの筋緊張感
15〜30秒を2〜4回
すべての大筋群の静的ストレッチ
いつもの生活習慣を、ちょっと変えた場合の減量効果


 日常生活の中に無理なく身体活動を取り入れるとなると、毎日やっていることをちょっとだけ意識して、変えて実践することがポイントです。体重80Kgの男性を例にして、ちょっと変えて習慣的に行った場合の、1年間の減量効果を上の表にまとめてみました。食事は計算に入れていませんが、身体活動量をちょっと増やすだけで、年間では2?6Kgもの減量効果が期待でき、まさに、「塵も積もれば山となる」、「継続は力なり」ですね!  活動強度の低いストレッチは入れていませんが、もちろんストレッチもこまめに行って、快適で血液循環の良い体を維持することを心がけましょう!
メッツ、エクササイズの分かり易い、捉え方


 よく、「メッツ」と「エクササイズ」による運動指標は分かりにくいと聞きますが、そんなことはありません。運動強度(メッツ)は、まず、①座って1メッツ、②立って2メッツ、③歩いて3メッツ、と覚えましょう。そして、④やや速歩と自転車が4メッツ、⑤かなり速歩が5メッツ、⑥ジョギングは6メッツ、⑦階段昇りが8メッツです。
 この程度を把握しておけば十分ですね。いろいろな身体活動や運動のメッツ数を覚えたり、表で調べたりする必要はないと考えます。そもそもがアバウトで、あくまで「指標」に過ぎないわけですから。
 どんな運動をするにしても、自覚的運度強度でメッツ換算してしまえば、身体活動にもスポーツにも適用できます。例えば、「楽」に感じれば3メッツ、「やや楽」なら4メッツ、「ややきつい」なら5メッツといったとらえ方です。

 また、メッツに時間をかけた運動量(エクササイズ)に関しては、各メッツ強度での運動を行った場合、1エクササイズの運動をする為に必要な時間は、60分にメッツの逆数をかければ、簡単に出せます。

 さらに消費カロリーは、メッツを、
  消費エネルギー(kcal) = 【 】メッツ × 実施時間(時間) × 体重(Kg) × 1.05
 の公式にあてはめれば比較的正確に求めることができます。
運動の種類
 健康増進に必要な運動を大きく捉えると、まずは何と言ってもウォーキング、自転車、水泳などの有酸素運動(全身を使って、10分以上継続する運動)、次に、筋力トレーニング、そしてストレッチの3つです。特に有酸素運動は、健康の維持増進には絶対に不可欠な運動です。また、筋力トレーニングは10年程前にはそれ程重要視されていませんでしたが、肥満解消のための基礎代謝向上やインシュリン感受性の亢進効果、また、高齢者の骨粗鬆症予防や不活用萎縮による介護予防の観点から、今やウォーキングとならんで重要な運動として認められようになりました。ストレッチについては、ウォーミングアップやクーリングダウンに行う運動というイメージが強く、補助的に捉えられがちですが、拘縮して代謝の悪い体をほぐし血行を良くするとともに、肩こり、腰痛などを予防改善するためにも極めて重要な運動であり、日常的に実践する必要がある運動だといえるでしょう。



◆運動の種類と健康増進効果◆



運動(または、生活活動)の種類と具体的方法とその効果
 
有酸素運動
筋力トレーニング
ストレッチ
①生活の中でふだん行っている活動と運動
・通勤、仕事、買い物などで歩く、自転車に乗るなどの移動活動、移動運動 ・階段、荷物運び、力仕事など、「ややきつい」と感じる程度の筋出力活動、運動 ・小休止の背伸びや腰反らしなど無意識で行っている筋弛緩活動、身体バランス活動
②基本的トレーニング方法
・1日10,000歩
  ≒ 90分 ≒ 8Km
・息のはずむ程度の「やや楽」から「ややきつい」と感じる強度で10分以上続けて行う全身運動
・1回20分以上(10分×2でも可)を週2〜3回以上で効果
・動的負荷の場合、最大筋力の70?80%の筋出力(「ややきつい」と感じる)で、8〜15回の反復回数
・静的負荷の場合、90?100%の筋出力で10秒程度
・週2〜3回
・力を入れる時は息を吐く
・はずみをつけずに
・伸ばす部位を意識して
・伸ばす時は息を吐いて
・気持ちのいいと感じるところまで
・10〜20秒程度かけて
③内臓脂肪減少に効果的方法
・1日30分以上(10分×3でも可)の息のはずむ程度の全身運動を、週5日以上行う
・1日3,000歩歩数を増やす
・ふだんあまり使っていない、体幹部の大筋群をトレーニングする
・スローで行えばより効果的
・ふだん使っていない、拘縮した体幹部の大筋群をストレッチし、代謝を高める
④意識的にトレーニングする具体策
・歩幅を広げて、骨盤を回して歩く(エネルギー消費量、30%の増加)
・車、電車、バスを、歩きや自転車に換える(1駅歩くなど)
・荷物運び、掃除、風呂洗い、庭仕事など積極的に行う
・ちょっとした時間や生活習慣に合わせて筋トレを意識的に行う
・ちょっとした時間や小休止など、生活習慣に合わせてストレッチを意識的に行う
⑤具体的効果
・エネルギー消費量が増加して、脂肪が燃焼する
・全身持久力が向上して、長時間運動できるようになり、疲れにくくなる
・エネルギー消費量が増加する
・筋量が増え、基礎代謝が上がり、脂肪燃焼効率が向上する
・楽に運動できるようになる
・筋が弛緩し、血液循環が促進し、代謝が亢進する
・関節可動域が広がり、筋稼動量が増加し、代謝が亢進する
・体がリラックスして、軽くなる
なぜ運動は必要か
  1. 現代の私達は、便利さやスピード、肉体労働からの解放をひたすら追求してきた文明の恩恵で、日常の運動(身体活動)量は激減しましたが、飽食の時代とあいまり、運動不足病→成人病→生活習慣病→「メタボリックシンドローム」、といった疾病構造を生み出しましたが、運動することでメタボを予防・改善できます。(下のグラフ参照)

  2. 戦後の60年間で日本の平均寿命は約30歳も伸延し、これは大変素晴らしいことですが、急速な高齢化社会が進展し、脚腰などの運動器の障害で被介護生活を余儀なくされる、「ロコモティブシンドローム」も国民病として深刻な問題となっていますが、運動することでロコモを予防・改善できます。

  3. ストレスに起因した「心の病」が急増し、平成23年7月に厚生労働省は、患者数が323万人と急増し社会問題にもなっている精神疾患を、これまでの「4大疾病」に新たに加えて「5大疾病」として、重点的な対策を進めていくことを決めましたが、うつ病などの精神疾患の予防・改善にも運動が有効であることが報告されています。適度な運動習慣により、免疫活性が高まることも報告されており、ストレスの健全な解消法として、心の病にも体を動か すということが心身のバランスを保つ上で大変重要です。

 これらの健康問題を解消するためには、運動習慣を、ごく自然に当たり前に生活化することが大変重要なのですが、「運動」というと、今だ、きつい、苦しい、時間がない、面倒、疲れる、苦手などといったネガティブなイメージが先立ち、敷居が高くなってしまっているのが現状です。しかし、本来、「運動」とは毎日の生活そのものであり、通勤したり、家事をしたり、暮らしの中で体を動かす身体活動すべてが“運動”そのものであり、それらを積極的に実践するだけでも十分に健康増進効果が得られることが分かっています。
 こうした、運動に対する誤った思いこみを捨て去り、体を動かすことは、私たち人間にとって本能的欲求であり、心と体を快適・爽快にし、身体機能の維持向上や代謝、内分泌、自律神経などの本来のはたらき(恒常性ホメオスタシス)を正常に保つために必要不可欠な機能維持方法、メンテナンス方法といった意味付けに変えていただく必要があると思います。
 これからの長寿社会を、より多くの方が、最期まで充実して、明るく、楽しく、幸せに生活にするためにも、毎日、無理なく、適度に、バランス良く、正しいやり方で、運動を生活に取り入れることは大変重要なことです。

「身体活動量」と死亡率の関係
○身体活動量の多い人は、癌、血管系疾患の死亡リスクが少ない

厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」

●死亡原因となっている、3大疾病、がん、心臓病、脳卒中、いずれも、男女とも、1日の「身体活動量」が多いほど、3〜4割程度死亡リスクが低くなることが報告されています。
スマホバナー
日本健康運動研究所とは
運動をはじめる前にお読みください
健康づくりに役立つエクササイズ
健康・運動コラム
お役立ち健康・運動情報
健康運動指導士とは?
健康と運動に関するご相談は健康創研へ
お問い合わせ
日本生活習慣病予防協会バナー
グループ検索バナー
リソースガイドバナー
BEST100バナー
病院検索Best5バナー
  

糖尿病ネットワーク 大人の健康生活ガイド 日本生活習慣病予防協会 セルフメディケーション・ネット
©1996-2012 日本医療・健康情報研究所/健康創研