3. 介護・リハビリ運動プログラムの運動指導
今までは理学療法士の方が担当されていた、要介護1?4程度の方や脳卒中で片麻痺の方を対象としての集団運動指導、また、ヘルパーさんや介護スタッフの方々への運動指導法の指導などの仕事が運動指導者のテリトリーに加わってきています。私も最初は不安なところもありましたが、させていただくうちにたいへん喜んでいただけるようになりました。まだ未経験の指導者の方も、ぜひ、積極的にトライされてみてはいかがでしょうか。
(1)運動指導の原理原則
- 様々な身体的障害や重度の疾病、深刻な身体状況にある方にとっても、適切な運動は必要です。急性期や体力が顕著に低下している場合、絶対安静の重篤な場合を除き、身体的不活動は機能や代謝を低下させてしまい回復を遅らせてしまうことは、今や常識となりました。手術後もできるだけ早く体を動かすようになったり、骨折してもギブスを使わなくなったことなどに象徴されると思います。ただし、医師や医療関係者の指導を受け、十分なコミニケーションに基づいて指導される必要があります。
- 健常者の一般的運動指導と、介護やリハビリの対象者に対する運動指導は、全く異なるので恐いし、不安に感じるという指導者の方も多いと思いますが、いずれの場合も、人が相手ですので、その効果的な運動プログラムの原理原則はまったく変わりません。指導方法や強度などは工夫して変えなくてはいけませんが、運動をどうアレンジしてプログラムして提供するかの違いだけの問題なのです。
(2)可能な範囲での被指導者プロフィールの把握
個人情報保護の観点から難しい場合もありますが、可能な範囲で。
医療関係者の方との事前カンファレンスをする必要があります。
- 既往歴、現在治療中の疾病・服薬の有無
- 外科的障害、不定愁訴の有無(治療・服薬の有無)
- 運動歴と現在の運動状況
(3)運動効果の具体例
- 一様に喜んでいただけるのは、「体がポカポカ温まった」、「気持ちがいい」、「体が軽く、楽になった」ということです。ふだん体を動かしていない方の体は筋が拘縮していて動かしにくく、代謝が悪く、低体温になっています。
- イスに座ってのウォーキングなどでは、最初はできなかった動きなども、続けているうちにだんだんできるようになり、協調性が高まってきます。脳、神経、筋との疎通性や協調性が高まります。
- こわばっていた表情が柔らかくなり、お顔に赤みがさし、活力が増したように感じられるようになります。
特に立ち座りや、動き出しがスムーズになったと言っていただきます。
(4)指導上の注意事項
- まず、必要な絶対条件は、指導者が、明るくて元気であることと、その場を楽しいと感じていただけるような指導をすることです。この前提条件、場作りが運動プログラムの内容より重要であると、私は考えています。
- 個人差にかなりの開きがあっても、それなりに全員が参加できるプログラムを提供することが大切です。
- 補助指導者が絶対に必要です。
- 強い負荷は一切禁忌であり、「楽」に感じられる軽運動程度で十分効果があります。
- 絶対に無理はしない、させない。
- 十分な休憩時間と水分摂取。
- 言葉使いは、親しみのあるフランクなものであると同時に、丁寧な敬語を使って話すとともに、プラス言葉のみを用いる心がけが必要です。
(5)効果的な運動プログラム
- 手遊び系、認知症予防プログラム
- イスに腰かけたままでのストレッチ、ウォーキング、筋トレ
- 痛みやしびれ、不定愁訴解消のための運動プログラム
- 嚥下体操、唾液分泌促進体操
- 失禁予防・改善運動プログラム
- ゲーム的コミニケーションプログラム
- フットケア
- リラクゼーション系プログラム
- マッサージ系プログラム
(6)モチベーション
- 少しでも体を動かせば、どんどん機能が回復して、楽に体を動かせるようになるという意識づけを反復して行うことが大事です。
- ちょっとした時間を利用して、簡単な運動を行うだけでも十分効果があることの意識づけが大事です。
- ボールや筋トレチューブなどの補助器具を使うのも効果的です。