高齢者の「フレイル」の簡単なチェック方法 ペットボトルの開け方を見れば筋力低下が分かる 筋力低下は要介護リスクを高める
2022年の国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因は「関節疾患」(19.3%)がもっとも多く、「高齢による衰弱」(17.4%)、「骨折・転倒」(16.1%)と続く。いずれも加齢にともなう「筋力の低下」が関連している。
加齢による筋力低下は、転倒・骨折・入院・死亡などの健康を害するリスクを上昇させる。筋力低下のサインを早期に知り、早い段階でフレイルに対策することが重要だ。
これまで、ペットボトルの開栓に困難を感じる人は、筋力が低下している可能性があるという報告はあったが、個々によって異なるペットボトルの開け方により筋力低下が分かる可能性を示したのははじめて。
研究グループは今回、ペットボトルの開け方と筋力低下の関係性を科学的に検証するため、地域在住の高齢者のとくにキャップを開ける際の握り方と筋力低下の関係を調査した。
その結果、「逆筒握りでペットボトルを開栓していること」が、筋力低下のサインとして有用であることを確かめた。
これにより、「ペットボトル開栓の困難さを感じること」に加えて、開栓動作パターンを評価し、「逆筒握り」かどうかを見ることで、筋力低下のサインを簡便に知ることができる可能性を示した。
研究グループは参加者に、未開栓のペットボトル製品(「お?いお茶 緑茶」525amL)ペットボトル)を、着席した状態で通常の方法で開けてもらい、開栓の動作を観察した。
キャップの握り方を「側腹つまみ」「逆筒握り」「筒握り」「3指つまみ」の4パターンに分類。その結果、「側腹つまみ」が74%、「逆筒握り」が16%、「筒握り」が6%、「3指つまみ」が3.9%だった。
さらに、参加者の筋力を、利き手の最大握力で測定し、性別ごとに第1四分位値(男性27.8kg、?性18.4kg)をカットオフ値とし、それ以下を「筋力低下」とした。
ロジスティック回帰分析した結果、「逆筒握り」は「側腹つまみ」に比べて、筋力低下と有意な関連がみられた。「筒握り」「3指つまみ」では有意な関連はみられなかった。
このことから、高齢者が「逆筒握り」でペットボトルを開ける動作を行うことが、筋力低下と関連していることが示唆された。
▼ 体重の減少
▼ 歩行速度の低下
▼ 疲れやすい
▼ 活動性の低下
国際骨粗鬆症財団(IOF)は、高齢者の「筋力低下」を防ぎ、生活の質(QOL)を低下させないために、食事でタンパク質を十分に摂取することに加え、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを習慣として行うことを推奨している。
日本の高齢者1,000人を対象とした調査では、フレイルの最大の危険因子であるサルコペニアの割合は、男性で14%、女性で12%だった。
椅子の座り立ちに時間がかかったり、片足で立っている時間が短くなったりすると、サルコペニアが疑われるとしている。
垂水研究
Association between muscle weakness and cap-grasping patterns when opening plastic bottles in community-dwelling older adults (Geriatrics & Gerontology 2023年9月11日)
国民生活基礎調査 (厚生労働省)
Regular exercise in middle age protects against muscle weakness later in life (オーストラレーシアン更年期学会 2013年12月14日)
Exercise habits during middle age are associated with lower prevalence of sarcopenia: the ROAD study (Osteoporosis International 2013年10月22日)