【新型コロナ】ウォーキングなど適度な運動をしている人は感染しても重症化しにくい
ウォーキングなど適度な運動を習慣として行っている人は、新型コロナに感染しても重症化しにくいことが、合計185万3,610人の成人を対象とした調査で明らかになった。
ウォーキングなどの中強度の運動を週に合計150分(1日平均30分程度)行うと、新型コロナから保護される効果は最大になるという。
「中程度の強度の運動を行うことで、体の抗炎症反応、心肺機能、筋力を高められます。これらすべてが、新型コロナの重症化を防ぐ有益な効果をもたらしている可能性があります」と、研究者は指摘している。
運動を習慣として行っている人は、新型コロナに感染し発症しても、入院や死亡を含む重症化のリスクが低いという調査結果が発表された。
ウォーキングなどの中強度の運動を週に合計150分間、あるいは筋トレなども取り入れた高強度の運動を75分間行っていると、もっとも新型コロナから保護される効果を得られるという。
これまでの研究でも、適度な運動や身体活動は免疫を強くすることが示されている。運動をする習慣のある人は、呼吸器感染症の感染と重症度の両方のリスクを軽減できることが示唆されている。
今回の研究は、スペインのバレンシア大学やナバーラ州立大学によるもの。研究グループは、2019年11月〜2022年3月に発表された関連研究を、3つの主要な研究データベースで検索し、16件の研究を解析した。
対象となったのは、合計185万3,610人の成人で、平均年齢は53歳だった。ほとんどの研究は観察研究で、韓国・英国・イラン・カナダ・スペイン・ブラジル・パレスチナ・南アフリカ・スウェーデンで実施された。
解析した結果、運動や身体活動を習慣として行っている人は、新型コロナに感染するリスクが11%低いことが示された。
さらに、運動をしている人は、運動不足の人に比べ、新型コロナに感染した場合の入院リスクは36%低く、重症化リスクも44%低いことが明らかになった。さらに、運動により新型コロナにより死亡するリスクは43%低くなった。
「運動をする習慣のある人は、新型コロナに感染するリスクが減少し、重症化や死亡のリスクは大幅に減少するという結果になりました」と、バレンシア大学のヤスミン エザトバー氏は言う。
「運動をする習慣が、新型コロナによる入院や重症化、死亡を抑制するメカニズムについて、詳しくは分かっていませんが、おそらく代謝要因と環境要因の両方が関係していると考えられます」としている。
運動をする習慣が、新型コロナからの保護効果をもたらす背景に、生物学的な理由があるという。
「中程度の強度の運動を行うことで、体の抗炎症反応、心肺機能、筋力を高められます。これらすべてが、新型コロナの重症化を防ぐ有益な効果をもたらしている可能性があります」と、エザトバー氏は述べている。
運動や身体活動の量や強度は「代謝当量(Metabolic Equivalents)」で示され、単位としては「メッツ(METs)」であらわされる。静かに座っている時を1メッツとして、その何倍の消費カロリーに相当するかで運動や身体活動は測定される。
3〜6メッツに相当する中強度の運動は「時速6kmの活発なウォーキング」「窓掃除や掃除などの家事」「自転車こぎ」「テニスやバドミントン」など。
運動量は「運動強度×時間」で計算され、「メッツ・時」という単位であらわされる。たとえば、4.5メッツの活発なウォーキングを週に1.5時間行うと、運動量は「4.5メッツ×1.5=6.75メッツ・時」となる。
研究では、新型コロナから保護される効果が最大になったのは、週に8.3メッツ・時を行っている人であることが明らかになった。ウォーキングなどの中強度の運動を週に150分(1日平均30分程度)、筋トレなども含む高強度の運動を週に75分間行っていると、だいたいこの運動量になるという。
Regular physical activity linked to lower risk of COVID-19 infection and severity (BMJ 2022年8月22日)
Physical activity and risk of infection, severity and mortality of COVID-19: a systematic review and non-linear dose-response meta-analysis of data from 1 853 610 adults (British Journal of Sports Medicine 2022年8月22日)