歩数計やスマホを持ち歩けば毎日の歩数を1800歩増やせる すべての年齢層で効果を期待

2022年09月01日

 歩数計やスマホなどで毎日の歩数を計ると、「運動をしよう」という動機付けになり、運動量を増やし、体重を減少するのに役立つことが、世界の16万4,000人を対象とした研究で明らかになった。

 歩数計、活動量計、スマートフォン、フィットネストラッカー、スマートウォッチなど、歩数を記録できるデバイスはさまざまなものが出ており、小型軽量化が進み、歩行距離や消費カロリーなどの目安が分かるものも出ている。

 こうしたデバイスを持ち歩くことで、毎日の歩数を最大で1,800歩(約40分)増やし、5ヵ月間で平均1kgの体重減少をもたらすメリットを得られるという。

歩数計やスマホで毎日の歩数を記録

 肥満やメタボ、2型糖尿病などの慢性的な健康上の課題をもつ人が、歩数計やスマホを持ち歩き、毎日の歩数を計ることが、血圧値やコレステロール値を改善するのに役立つという研究が発表された。

 「歩数計やスマホなどで、毎日の歩数を記録することは、心血管疾患、脳卒中、2型糖尿病、がん、うつ病など、運動不足によってリスクが高まる健康問題に対策するための、低コストで効果的な手段となる可能性があります」と、南オーストラリア大学で健康・人間行動学を研究しているタイ ファーガソン氏は言う。

 歩数を計り記録できるデバイスは、「アクティビティ トラッカー(活動量計)」とも呼ばれており、ウォーキングやランニングなどの運動の記録に加え、歩行距離や消費カロリーなどの目安が分かったり、心拍数の測定や、睡眠の記録などができるものも出ている。

 「アクティビティ トラッカーは人気が高く、世界中の数百万の人が、健康増進の役に立つと信じていますが、実際にどれだけの効果があるのか、運動や身体活動、食事などにどのように影響するのかはよく分かっていませんでした」と、ファーガソン氏は言う。

 「世界中に出荷されたアクティビティ トラッカーの数は、2014年から2020年にかけて15倍に増加し、その市場は2020年には3,800億円(28億ドル)に拡大しました。しかし一部には、そうしたデバイスはたいして健康の役に立っていないのではないかと、懐疑的にみている人もいます」。

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歩数計を持ち歩くと歩数を1,800歩増やせる

 研究では、アクティビティ トラッカーを持ち歩くことは、すべての年齢層で、長期的に効果をもたらすことが示された。研究成果は、医学誌「Lancet Digital Health」に掲載された。

 こうしたデバイスを持ち歩くことで、毎日の歩数を最大で1,800歩(約40分)増やし、5ヵ月間で平均1kgの体重減少をもたらすメリットを得られるという。

 糖尿病や高血圧、脂質異常症の人だけでなく、うつ病や不安症などのメンタル面での課題をもつ人でも、アクティビティ トラッカーにより身体活動量を増やすことは、健康状態の改善につながるとしている。

 一般的に、平均的な人は加齢にともない、1年間で約0.5kgの体重増加があるが、アクティビティ トラッカーを活用すれば、体重を5ヵ月で約1kg減少することを期待できるという。オーストラリア人の3分の2が過体重や肥満なので、この結果は重要だとしている。

 「1kgの減量はそれほど多くないように思われるかもしれませんが、今回の研究は、体重コントロールに焦点をあてたものではなく、生活スタイルと運動・身体活動の関連に着目し、公衆衛生の観点から調査したものであることに注意してください」と、ファーガソン氏は言う。

 体重コントロールを目標とした運動プログラムも開発されており、それにアクティビティ トラッカーを組み合わせれば、もっと効果を期待できるという。

ただ持っているだけでは効果なし 目標設定が必要

 ただし、「ただアクティビティ トラッカーを持っているだけでは、ただちに効果があらわれるわけではないので、過度の期待をするべきではありません」と、ファーガソン氏は付け加えている。

 「ウォーキングなどの運動を習慣として行い、体を動かすことを日課にし、体重を減らすための目標を設定することが重要です。歩数や身体活動を計れるデバイスは、使い方次第で健康増進に役立てることができます」としている。

Wearing your fitness on your sleeve is great for the heart (南オーストラリア大学 2022年7月20日)
Effectiveness of wearable activity trackers to increase physical activity and improve health: a systematic review of systematic reviews and meta-analyses (Lancet Digital Health 2022年8月)


[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所