【新型コロナ】感染対策の食事は「野菜を食べる」「加工肉は控えめ」「コーヒーを飲む」 運動不足は肥満よりも深刻
コロナ禍で多くの人が運動不足におちいっている。ウォーキングなどの運動をする習慣が、新型コロナのリスクを大きく減少することも分かっている。
新型コロナの感染リスクを減少するもっとも確実な方法は、ワクチンを接種することだ。新型コロナのワクチンには、原因となるウイルスを広めるのを防ぐ効果もある。
とくに、高齢者など免疫系が低下している人や、心血管疾患、高血圧、糖尿病、肥満などの既存の併存疾患がある人は、新型コロナが重症化するリスクが高まる。
しかし、そうした基礎疾患の治療やワクチン接種、体重の管理など以外に、新型コロナの感染に対策する方法については、あまり注意が向けられていない。
「新型コロナの拡大を防ぐために、国や地域で公開されている感染予防ガイドラインに従うことが大切です。それに加えて、食事と栄養という、比較的簡単な方法によって、リスクを減らせる可能性があります」と、米ノースウエスタン大学ファインバーグ医学部予防医学科のマリリン コーネリス氏は言う。
「どのような食事をしているかは、ウイルス感染症などに対抗する免疫力に影響します。新型コロナを含む感染症に対する感受性や反応で、免疫は重要な役割を果たしています」としている。
研究グループは、英国の大規模ヘルスケアデータベース「UKバイオバンク」のデータを使用して、新型コロナのワクチンが利用可能になる前の2006〜2010年の食事行動と、2020年3月〜12月の新型コロナ感染について分かっている3万7,988人のデータを解析した。対象者は新型コロナのPCR検査も受けており、17%が陽性だった。
その結果、研究では、野菜を1日に0.67サービング以上食べていると、新型コロナの感染リスクの低下につながることが示された。ただし、ジャガイモなどの高デンプンのものは除く。
サービングは、食事の提供量の単位を示している。食事で皿などに盛られた1回の食べる量がおよそ1サービングになる。
また、加工肉を1日に0.43サービングを食べていると、新型コロナのリスクは上昇することも分かった。コーヒーを1日1杯以上飲む習慣も、ほとんど飲まない場合に比べ、新型コロナのリスクを約10%減少することに関連しているという。
さらに、赤ちゃんのときに母乳で育てられた人は、母乳で育てられなかった人に比べ、新型コロナのリスクが10%減少していた。
「野菜には、炎症や酸化ストレスを軽減するビタミン、ミネラル、ポリフェノール、カロテノイドなどの大切な栄養素が含まれます。また、コーヒーにはやはり抗酸化作用のあるクロロゲン酸が豊富に含まれています。こうした栄養が影響している可能性があります」と、コーネリス氏は指摘している。
それ以外にも、タバコを吸わず、アルコールも控えめにし、糖質の多い高カロリーの飲料やお菓子を食べ過ぎず、睡眠の質の向上やストレスの管理をするなど、生活で小さな工夫を積み重ねることがコロナ対策になると考えられるという。
食事の因子と新型コロナを関連付ける詳しいメカニズムはまだ分かっていない。しかし、UKバイオバンクでは遺伝子検査も行われており、参加者の遺伝子型の特定ができている。研究グループは今後、こうしたデータを使用して、食事や栄養が感染症などの保護とどのように関連しているかを詳しく調べる予定だ。
ウォーキングなどの運動や身体活動を習慣として行っている人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しても、重症化し入院やICU(集中治療室)での治療が必要になったり、死亡するリスクをいずれも大きく減少できることが明らかになっている。
1日30分×週5回のウォーキングを行っていると、新型コロナが重症化するリスクを大きく低下できる。いつも運動をしているわけではないという人でも、まったく運動しない人に比べ、新型コロナのリスクは低下するという。
これは、米国の主要な保険システムであるカイザーパーマネンテが、2020年1月1日〜10月21日に、新型コロナに感染したと診断された4万8,440人の成人を対象に行った調査によるものだ。
調査では、運動不足群は活動群に比べ、入院率は2倍以上に、ICU収容率は1.73倍に、死亡率は2.49倍にそれぞれ上昇したことが分かった。さらに、運動不足の人は、基礎疾患(がん、糖尿病、循環器疾患、腎臓病、高血圧など)のある人よりも、死亡リスクがさらに高いことも明らかになった。
「運動を習慣として続けている人は、新型コロナに打ち勝つ可能性が高く、運動不足の人は重症化するリスクが高いことが分かりました。運動不足がもたらす悪影響は、肥満や喫煙などの危険因子よりもさらに深刻です」と、研究者は述べている。
ブラジルサンパウロ州立大学などの調査では、新型コロナのパンデミックにより、外出制限が開始されたはじめの数ヵ月で、世界中の人々の運動や身体活動の量は33.5%低下し、座位行動は28.6%上昇したことも示されている。
ソーシャルディスタンスとステイホームは、新型コロナの感染拡大を防ぐのに役立つものの、高カロリーのファストフードの食べ過ぎや、椅子やソファに座りスクリーンを見ている時間の増加、日中の運動不足などの不健康な生活スタイルを助長している可能性がある。
「ウォーキングなどの中強度の運動を週に150分以上、あるいは高強度の運動を75分以上行うことを目標に、運動に取組むことが勧められます」と研究者は述べている。
「運動不足と座りがちな生活スタイルを改善する必要もあります。テレビを見たり、コンピューターで長時間仕事をしたり、座ったまま過ごす時間が長引くときも、30分ごとに立ち上がり、足を延ばし、できれば体操などの軽い運動をすることが大切です」としている。
Coffee and veggies may protect against COVID-19: Less processed meat and being breastfed also confer protection(ノースウエスタン大学 2021年7月19日)
Dietary Behaviors and Incident COVID-19 in the UK Biobank(Nutrients 2021年6月20日)
Physical activity may reduce risk of poor COVID-19 outcomes(カイザーパーマネンテ 2021年4月13日)
Physical inactivity is associated with a higher risk for severe COVID-19 outcomes: a study in 48 440 adult patients(British Journal of Sports Medicine 2021年4月13日)
Lack of physical exercise during COVID-19 confinement may lead to a rise in mortality, study shows(サンパウロ研究財団 2021年1月20日)
The Urgent Need for Recommending Physical Activity for the Management of Diabetes During and Beyond COVID-19 Outbreak(Frontiers in Endocrinology 2020年10月28日)