11月14日は世界糖尿病デー ウォーキングで世界につながろう 糖尿病の半分以上を予防できる

2019年11月14日
 11月14日は「世界糖尿病デー」だ。ウォーキングなどの運動により、糖尿病を予防・改善しようというキャンペーンが、世界規模で行われている。 運動を習慣として続けるメリットを明らかにする研究が数多く発表されており、どのように運動をすればより効果的かも分かってきた。

>> 11月14日は「世界糖尿病デー」
    糖尿病の半分以上は予防できる
ウォーキングで世界につながろう
 11月14日は世界糖尿病デーだ。主導している世界糖尿病連合(IDF)によると、食事や運動などの生活スタイルを改善することで、2型糖尿病の半分以上は予防が可能だ。しかし現状は、糖尿病が疑われる人の半分が診断を受けでおらず、適切な治療を開始できていない。

 世界糖尿病デーを支援している「世界糖尿病財団(WDF)」は、「グローバル糖尿病ウォーク」というキャンペーンを展開している。

 キャンペーンは数人の小規模なグループから、数十人の大きなグループまで、仲間を集めて、集団で地域の身近な場所でウォーキングを行い、WDFのサイトに登録するというもの。

 WDFは、地域の糖尿病協会、医療機関、地方自治体などにも協力を呼びかけ、コミュニティを動員することを勧めている。「場所がどこであっても、どのような歩数や距離であっても、すべてのウォーキングは意味があります。世界中で行われている糖尿病に対する戦いに貢献する絶好の機会です」と、WDFでは呼びかけている。

 このキャンペーンは2004年に開始され、15年間続けられている。これまでに世界中で500万人以上が参加している。WDFのサイトには世界の各地で開催された「グローバル糖尿病ウォーク」が地図で表示されている。
「グローバル糖尿病ウォーク」が世界中で実施されている
世界糖尿病財団
ウォーキングは気軽に取り組められる運動
 米国糖尿病学会(ADA)は、「あなたの人生をコントロールするために、運動を習慣として続けることが必要です」と強調している。

 ウォーキングなどの運動を行うことで、体のブドウ糖がすぐに消費される。運動を続けると、血糖を下げるインスリンの反応が良くなり、過去1?2ヵ月の平均的な血糖の状態をあらわすHbA1cが低下する。

 運動には、「血圧を下がる」「中性脂肪が減る」「体重が減る」「心肺機能が向上する」「爽快感を得られ、ストレス対策になる」など、多くの利点がある。糖尿病予備群と指摘された人でも、運動をすることで糖尿病になるリスクが大幅に低下する。

 いつでもどこでもウォーキングは気軽に取り組められる運動だ。音楽を聴きながら、大切な人と一緒に、あるいは1人で、目標を設定しても良いし設定しなくとも良い。「毎日の目標を達成できれば、あなたは自分の人生をコントロールしていることを実感できるようになるでしょう」と、ADAは指摘している。
運動をして糖尿病予備群から離脱するのに成功
 オーストラリアのタスマニア大学の研究によると、ウォーキングなどの運動により、2型糖尿病は一定の段階まで可逆的、つまり糖尿病を発症する前の段階まで戻すことが可能だ。

 米国のバージニア大学の研究によると、糖尿病予備群と判定された人に勧められる運動は、「インターバル運動」だ。

 インターバル運動は、最大??心拍数の80%近くまで強度を高めた活発なウォーキングなどの運動と、低強度のゆるやかな運動を交互に行う運動法。運動に慣れていない人でも無理な続けられ、カロリーを燃焼するのに効果的だとしている。

 研究グループは、糖尿病予備群と判定された30人の男女を対象に2週間の試験を行った。インターバル運動(最大??心拍数の90%の高強度の運動と、50%の低強度の運動を3分ごとに交互に行う)の群と、通常の運動(最大心拍数の70%の運動をずっと行う)の群に無作為に分け、14日間続けてもらった。

 その結果、どちらの群も糖尿病に関連する検査値が改善したが、インターバル運動を行った人ではより効果的で、わずか2週間で40%近くが糖尿病予備群から離脱するのに成功したという。

 週に3?5回、30分間のインターバル運動により、心臓と血管の健康向上、血圧の低下、インスリン抵抗性の改善、コレステロール値の低下、内臓脂肪の減少、体重減少などを期待できる。
歩く速度を上げると身体機能と認知機能が改善
 米国のデューク大学が、45歳のニュージーランドの男女904人を対象とした縦断研究によると、運動の効果を得るためには、ウォーキングの速度を上げることも効果的だ。

 歩く速度の速い人では、体格指数(BMI)、血圧、身体機能が高い傾向がみられた。また、45歳の時点での歩行速度が低下は、身体機能や認知機能の悪化と関連していることが判明した。

 「ゆっくりとしか歩けなくなることは老化の兆候とみるべきです。70?80歳代の高齢者では、歩行速度が遅い人は速い人に比べ、早死のリスクが高い傾向があることも分かっています。運動を習慣として行わないと速く歩けなくなります」と、デューク大学のテリー モフィット教授は言う。

 「ウォーキングなどの運動を続けることで、心肺機能が向上し、筋肉が増え、酸素消費能力が向上します。神経系や脳にも良い効果があります」としている。
高齢者が運動の頻度を増やすと心血管疾患リスクが減少
 糖尿病など慢性疾患をもっていたり、自分の健康について不安をもっているのなら、運動を始める前に医師に相談することが勧められるが、ほとんどの人は運動を安全に行うことができる。

 とくに高齢で、それまで運動をする習慣のなかった人では、運動に取り組むのに躊躇するケースが少なくない。しかし、そうした人にこそ運動は有益だという研究が発表されている。

 韓国の国立大学であるソウル大学校が60歳以上の男女111万9,925人を対象とした調査によると、活発な運動を週に3〜4回行うことで心血管疾患のリスクは11%減少する。また、運動をする頻度を週に1〜2回から5回以上に増やすと、心血管疾患のリスクは10%減少する。逆に運動をまったくしないと、心臓と血管の障害リスクは27%も上昇するという。

 「60歳以上の人口は世界で2050年までに20億人に増加すると予想されてます。高齢者では、加齢にともない運動を習慣として行うのが難しくなりますが、運動頻度を維持したり増やすことが、心血管疾患を予防するために必要です。医師はもっと積極的に運動療法を処方するべきです。これは、もっと若い世代や糖尿病などの慢性疾患をもつ人にも当てはまります」と、ソウル大学校のキム キュウン氏は述べている。

「グローバル糖尿病ウォーク」に参加しよう(世界糖尿病財団)
Exercise for diabetes and get a leg up(米国糖尿病学会)
Increased exercise over the age of 60 reduces risk of heart disease and stroke(欧州心臓病学会 2019年11月8日)
Changes in exercise frequency and cardiovascular outcomes in older adults(European Heart Journal 2019年11月8日)
Why your patients with prediabetes might benefit from interval training(米国医師会 2019年10月15日)
Two Weeks of Interval Training Enhances Fat Oxidation during Exercise in Obese Adults with Prediabetes(Journal of Sports Science and Medicine December 2019年12月1日)
New Zealand Study Connects Walking Speed With Brain Health In 45-Year-Olds(デューク大学 2019年10月11日)
Association of Neurocognitive and Physical Function With Gait Speed in Midlife(JAMA Network Open 2019年10月11日)

[Terahata]