大阪府が「健活10」を開始 健康寿命の延伸と健康格差の縮小が目標 1人ひとりの主体的な健康づくりを促す

2019年03月08日
 大阪府は、府民の健康寿命の延伸と健康格差の縮小に向けて、「健活10(ケンカツ テン)」を展開している。府民一人ひとりの主体的な健康づくり活動を促す取組みを進めている。
特定健診やがん検診の受診を呼びかけ
 「健活10」は、府民に取り組んでもらいたい10項目の健康づくり活動をまとめたもの。「健活10」ポータルページを開設し、健康づくりに関するイベント情報や府民の健康データなどの情報を公開。府民に健康への関心を高めて、特定健診やがん検診を受診するよう呼びかけている。

 キャッチコピーとロゴマークを掲げ、PR動画の公開も開始した。動画では、吉本興業のゆりやんレトリィバァさんが、ユニークなイラストとともに「健活10」を紹介している。
大阪府の健康づくり推進活動「健活10〈ケンカツ テン〉」PR動画
大阪府の健診とがん検診の受診率は低迷
 大阪府の健康寿命の平均は、男性71.50歳(全国39位)、女性74.46歳(全国34位)と、全国に比べ低迷している。

 また、40〜74歳を対象とした特定健診(特定健康診査)の大阪府内の受診率の平均は30.0%と、全国の51.4%に比べ低い。

 大阪府のがん検診の受診率は、胃がんが33.7%(全国40.9%)、大腸がんが34.4%(全国41.4%)、肺がんが36.3%(全国46.2%)、乳がんが39.0%(全国44.9%)、子宮頸がんが38.6%(全国42.3%)と、いずれも低迷している。

 糖尿病による死亡率は、男女とも全国と比べて高く、2010年の全国順位でみると、男性がワースト10位、女性はワースト17位となっている。糖尿病による受療率も、入院・外来とも全国と比べて高い。
若い世代にこそ知ってもらいたい
 健康寿命を延ばすには、1人ひとりが健康への関心を高めるとともに、生活習慣の改善に取り組むことが重要だが、多くの府民は実践がともなっていない。

 大阪府は2015年度に「第1回大阪版健康・栄養調査」を実施した。メタボを予防・改善するための「体重の測定」「定期的な運動」「適切な食事」などの実践について、働く世代後期(40〜64歳)では男性39.0%、女性37.9%が「半年以上続けて行っていることはない」と回答。

 若いの働く世代(30〜39歳)で、定期的な運動を実践している割合は男性で24.8%、女性で10.4%と低く、とくに若い女性の運動不足は深刻だ。

 若い世代は仕事や子育てなどが多忙な時期でもあり、生活の中で自分の時間が少なく、「自分自身の健康」に気持ちが向きにくい。「現代の疾病構造は、若い時代からの生活習慣の結果が慢性疾患をもたらしていることを、若い世代こそ知ってもらう必要がある」と、府の健康医療部では述べている。
太めの人は「主食重ね食べ」に注意
 メタボを予防・改善するために「適切な食事」の実践が必要だが、炭水化物、タンパク質、脂質の%エネルギー構成比の適正化を実践していない府民は45.6%に上る。実践していない男性は炭水化物に偏っていることが多かった。

 「うどん+かやくごはん」「ラーメン+チャーハン」「お好み焼き+ごはん」「パスタ+パン」など、主食を2種類同時に食べる「主食の重ね食べ」は、大阪でよく見られる食べ方だ。

 しかし、重ね食べを「太りそうだと思う」は女性で5〜6割、男性で3〜4割に上る。重ね食べに対して「健康によくない」と思う人が多いものの、「おいしいと思う」「お腹いっぱいになると思う」「大阪らしいと思う」という意見も多い。

 肥満(BMI25以上)の府民を対象とした調査では、男性の70.7%、女性の56.2%が「1日1食以上」から「週1〜6食」という頻度で重ね食べをしていることが示された。

 「栄養バランスを改善するために、単に教科書的な知識を提供するのではなく、重ね食べのように、注目される表現で日々の食事の栄養バランスについて意識するよう啓発していく必要がある」と、府では述べている。
「大阪ヘルシー外食推進協議会」を設立
 府民を対象とした調査では、外食・中食の利用頻度が多いほど、栄養バランスが乱れたり野菜摂取量が少ない傾向があり、肥満の割合も多かった。外食・中食ではバランス良く栄養を摂ることができないと思っている府民も多い。しかし、現実的には外食・中食の利用を控えることは困難だ。

 むしろ外食・中食を活用して、バランスの良い食べ方が実践できるよう、商品開発や情報発信を業界とともに進めるのが実際的だ。府では、1996年に官民一体の「大阪ヘルシー外食推進協議会」を設立し、「うちのお店も健康づくり応援団の店」表示によって、府民への利用促進を推進している。

 2016年からは、野菜たっぷり、適油、適塩の「V.O.S.」マークを作成して、コンビニなどと連携した商品を共同開発するなど、府民が選択しやすい環境整備に取り組んでいる。
大阪府「健康10ヵ条」
 さらに、府民の健康寿命の延伸に向けて、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取組みも推進している。全国健康保険協会大阪支部などと、中小企業の経営者、労務担当者および人事担当者などを対象とした「健康経営セミナー」を開催。

 府域での自主的・主体的な健康づくり活動の奨励・普及を図るため、職場や地域で積極的な活動を行っている団体を表彰する「大阪府健康づくりアワード」も実施。

大阪府 健康10ヵ条

(1)健康に関心を持ちましょう
 健康の維持・向上を図るため、自分の健康状況に合った必要な情報を見極め、最善の選択を行うことができるよう、健康に関心を持ち、健康情報を活用できる力を身につけましょう。

(2)朝ごはん&野菜をしっかり食べましょう
 健やかな生活を送ることができるよう、毎日朝食をしっかり食べることや野菜をたくさん摂取すること、栄養バランスのとれた食生活を守ることの重要性を理解し、習慣的に実践しましょう。

(3)日頃から体を動かし運動しましょう
 生活習慣病の予防、健康の保持・向上を図るため、日頃から自分の身体状態にあわせて運動やスポーツを楽しんで、日常生活における身体活動量や運動量を継続的に増やしましょう。

(4)ぐっすり眠り疲れをとりましょう
 睡眠により十分な休養を取り、日々の心身の疲れを癒すことができるよう、健全な生活リズムを確立することや適切な睡眠のとり方を習得し、毎日の生活で実践しましょう。

(5)ストレスとうまく付き合いましょう
 ストレスへの対処法に関する正しい知識を持ち、家庭や職場、地域など日常生活のさまざまな場面で実践するとともに、必要に応じて医療機関を受診するなど専門的な支援を受けましょう。

(6)お酒の飲み過ぎに注意しましょう
 飲酒が及ぼす身体への影響は、年齢・性別・持病等によって大きく異なることに加え、その日の体調によっても差があることを理解し、自分の状況に合った適量飲酒を実践しましょう。

(7)たばこから自分と周囲の人を守りましょう
 多くの病気のリスクになると指摘されている喫煙・受動喫煙について、健康への影響を正しく理解し、禁煙等の適切な行動に取り組むとともに、望まない受動喫煙を防止しましょう。

(8)歯と口の健康を大切にしましょう
 歯と口の健康が全身の健康と関わっていることを理解し、歯と口の健康づくりに関する知識を身につけ、正しい歯磨き習慣を実践するとともに、定期的に歯科健診を受診しましょう。

(9)けんしん(健診・検診)を受けましょう
 学校や職場、市町村等での「けんしん(健診・がん検診)」を定期的に受診することで、自らの健康状態を正しく把握して健康管理に努めるとともに、疾患の早期発見につなげましょう。

(10)病気が見つかったらきちんと治療しましょう
 けんしんの結果、疾患(高血圧、糖尿病等)が見つかった場合、速やかに医療機関を受診するとともに、疾患に応じて継続的な治療を受けることにより、重症化を防ぎましょう。

大阪府「健活10〈ケンカツ テン〉」
健康おおさか21
大阪府健康づくりアワード
大阪府 健康医療部 保健医療室健康づくり課 企画推進グループ
大阪府民版 循環器疾患・発症予測ツール(大阪がん循環器病予防センター)

[Terahata]