女性の「痩せ」志向は不健康
スポーツを通じて女性の活躍を促進
2018年04月06日
日本の女性は先進国の中でも運動実施率が低く、もっとも痩せている。スポーツ庁などは、スポーツに取組む女性を増やす対策を開始した。
女性の体力が過去最低を記録
スポーツ庁は、運動実施率の向上について検討するスポーツ審議会の健康スポーツ部会の会合を開き、日本の女性は先進国の中でも運動の実施率が低く、最も痩せている傾向があることが報告された。
「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(2017年)によると、女性のスポーツ実施率は50.2%で、男性の53.4%よりも低い。40歳代女性はもっともいちばんスポーツ実施率が低く、37.8%にとどまる。
スポーツ庁の「体力・運動能力調査」によると、新体力テスト施行後の19年間の合計点の年次推移をみると、35歳から39歳の女性の体力が過去最低を記録した。一方で、55歳から59歳の女子の体力は向上傾向にある。30歳~40歳の女性は働き盛りで、育児や介護で忙しく、運動離れが進んでいるとみられる。
女性の痩せ志向は将来に大きなダメージに
スポーツを通じて女性の活躍を促進
これを受けて、政府の「未来投資戦略2017」では、女性のスポーツ実施率を向上させるために、国民および幅広い関係者に対してメッセージを発信する「女性スポーツキャンペーン」を実施することが決められた。
「女性活躍加速のための重点方針2017」でも、「スポーツを通じた女性の活躍促進会議」を開催することが決定している。女性の「する」「みる」「ささえる」スポーツへの参画の促進のための環境を整備し、スポーツを通じて女性の社会参画・活躍を推進するという。
日本では、女性の社会進出の問題や、その背後にある「女性らしさ」、男女の役割分担に対する社会的な価値判断・評価が強く影響し、女性のスポーツ実施率が伸び悩んでいる。
スポーツ審議会の健康スポーツ部会は、日本の20代〜40代の女性のスポーツ実施率向上に向けた可能性を検討している。
女性は仕事、子育てなどの制約を受けている
▼女性はスポーツ自体に消極的なわけではなく、仕事、子育てなど、ライフステージにおける制約を受けている、▼加齢により、女性のスポーツに対する価値観に大きな隔たりが生まれている、▼そもそもの生まれ育った社会環境や生活習慣の影響が大きい、▼20代〜40代の女性では、ウォーキングなどは1人でも気軽にはじめられるという利点があるものの、飽きられ、やめてしまうのも早いのではないか――とスポーツ庁は推定している。
対策として、女性のスポーツ実施率の向上のためのキャンペーンを実施し、女性スポーツ指導者の育成を支援、スポーツ団体における女性役員の育成支援を行うことを検討している。
女性はライフステージの節目においてスポーツ習慣が途切れやすいと考えられる。その現状と課題を把握するとともに、女性のスポーツ参加を促進するキャンペーンを行う。
スポーツのあらゆるレベル、あらゆる職務、役割における女性の参画を促進し、ライフステージの節目においてスポーツ習慣が途切れやすいという欠点を補う考えだ。
女性のスポーツ実施を促すキャンペーン 自治体の取組み
英国は女性のスポーツ実施を促すキャンペーン「This Girl Can」を実施した。若者の行動パターンを細かく分析し、女性が「私にもできる」という自信を持ち一歩を踏み出す後押しをするメディアキャンペーンを展開した。
女性がスポーツを楽しんでいる姿をソーシャルメディアで共有するよう呼びかけるなどして、結果として新たに26万人以上の女性がスポーツ習慣を確立したという。
スポーツを通じた共生社会を実現するために、多様な人材の育成と活躍の場を確保することが必要だ。日本の自治体や企業も対策を進めている。
スポーツ庁は自治体や企業の先進的な試みとして、東京都日野市とイオンモールが取り組んでいる「ふらっと健康運動体験教室」を紹介している。
20代〜40代の子育て中の女性をターゲットに、幼稚園の園長、小学校の校長、児童館などの協力を得て、「ふらっと健康運動体験教室」のチラシを子供から母親に渡してもらうなどして、ダイレクトにアプローチしている。
子育て中の女性は子供の在宅中に家を空けにくいため、学校が長期休暇になる4月や8月の開催は避けたり、子供が学校から帰宅する前にはプログラムを終了するなど、子育て中の女性が参加しやすいように工夫している。
子供連れでの参加や、当日参加も可能で、イオンモールの利用者層の中心となる30代〜40代の女性がふらっと立ち寄りやすい環境を作っているという。
平成29年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(スポーツ庁 2018年2月27日)
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