「ポケモンGO」は働く人のメンタルヘルスに有効
初の科学的な検証
2017年09月13日
スマートフォン用ゲームアプリ「ポケモンGO」が労働者の心の健康の保持と増進に有効である可能性があるというという研究を、東京大学の研究グループが発表した。1ヵ月以上継続してプレイした労働者は、心理的ストレス反応が減少したという。
屋外で歩かなければプレイできないゲーム
スマホゲーム「ポケモンGO」を1ヵ月以上続けてプレーした労働者は心理的ストレス反応が減少したという調査結果を、東京大学医学系研究科精神保健学分野の研究グループがまとめた。
「ポケモンGO」は、2016年7月に配信が開始されて以来、8週間で世界累計5億ダウンロードを記録するなど、爆発的に広まったスマートフォン用ゲームアプリ。
地理情報と拡張現実の技術を利用することで、プレイヤーがあたかも現実世界でポケモンを捕まえ、育てられるかのような体験でできるゲームだ。「ポケモンのタマゴ」を孵すために一定の距離を歩かなければならないなど、外出して動かなければプレイできないような仕組みになっている。
拡張現実を活用した新しいスマホゲームアプリ「ポケモンGO」が及ぼす影響は、その新規性からさまざまな方面で論じられてきた。しかし、そのほとんどは事例証拠や専門家の意見によるものにとどまっていた。
プレイヤーの心理的ストレス反応が減少
労働者のメンタルヘルス改善に大きなインパクト
今回の研究は、「ポケモンGO」がメンタルヘルスの改善に及ぼす効果を示した世界ではじめてのものだ。
心理的ストレス反応の効果は大きいものではなかったが、「ポケモンGO」がゲームとして広く普及していることを考えると、労働者の心の健康の保持・増進に大きなインパクトをもつ可能性がある。
「さまざまな世代や特徴をもった人々に広くプレイされる"ポケモンGO"は、労働者のメンタルヘルス改善に大きなインパクトをもたらす可能性がある」と研究者は指摘している。
ゲーム性を備えたコンテンツによるメンタルヘルス改善のための介入は、従来の介入方法と比較して、メンタルヘルスの問題に興味のない人々や、メンタルヘルスの問題を抱えていながら通常のケアにアクセスできないような人々にも有効である可能性があるという。
研究は、東京大学医学系研究科精神保健学分野の渡辺和広大学院生、川上憲人教授らによるもので、英科学誌「サイエンティフィック リポーツ」に発表された。
東京大学医学系研究科精神保健学分野Pokémon GO and psychological distress, physical complaints, and work performance among adult workers: a retrospective cohort study(Scientific Reports 2017年9月7日)
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