わずか10分の「階段昇降」が実践的な運動に 階段なら続けられる
2017年02月23日
高負荷と低負荷の運動を交互に繰り返す「インターバル・トレーニング」に、「階段昇降」を組み合わせると、わずか1日10分の運動でも心血管性フィットネスが向上し、体力がつくことが判明した。
昼食後の休み時間や、家事の合間、休みの日の自宅でも、少しでも多く運動の時間をつくることで、長い間に大きな差が出てくるという。
昼食後の休み時間や、家事の合間、休みの日の自宅でも、少しでも多く運動の時間をつくることで、長い間に大きな差が出てくるという。
運動はいつどこでやっても効果がある
運動療法には万能薬のような作用がある。運動を続けることで、糖尿病や高血圧が改善し、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病、がんなど、さまざまな病気の予防や改善につながる。
運動は体の老化を遅くする最良の手段になるだけではない。メンタル面でも良い効果があり、うつや認知症の予防・改善にも役立つことが確かめられている。
しかし、運動をすることで多くの恩恵を得られることは分かっていながら、「時間を毎日つくるのが難しい」という理由で、運動を始められないという人は多い。
米国の運動ガイドラインでは、18~64歳の成人はウォーキングなどの適度な有酸素運動を週に150分以上、あるいは筋力トレーニングなどを取り入れた活発な運動を75分以上行うことが勧められている。
しかし、米国疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、推奨された量の運動を実際に続けている人は5人に1人だという。
そうした人に福音となる研究が発表された。「インターバル・トレーニング」を取り入れれば、1日に10分の運動でも効果があるという。週に3回以上行えば、たとえ数分の運動でも、体を変えることができる。
階段の昇降は、いつでも、どこでもできる運動
短い時間の階段昇降でも効果はある
階段昇降はいつでも行え、しかも無料でできる。「いつでも身近にできる階段昇降が、血管や心臓を健康にする有益な選択肢になります。しかも時間的な効率の点でもメリットが多いのです」と、ギバラ教授は言う。
研究チームは、運動週間のない1日に座ったまま過ごす時間の長い31人の女性を対象に、2種類の運動に取り組んでもらった。
ひとつは、階段昇降をできるだけ早く20秒間行ってもらい、次の20秒間はゆっくり昇降してもらうという「インターバル・トレーニング」。参加者に1回30分、週に3回行ってもらい、運動の前後に10分間のウォームアップとクールダウンも行ってもらった。
6週間の実験の結果、参加者の最大酸素摂取量は12%増え、心血管性フィットネスが改善したことが明らかになった。これを、エアロバイクで自転車こぎを30分、休みなしに行った場合と比較したところ、「インターバル・トレーニング」と体力の向上には差はなかった。
もうひとつは、階段昇降をできるだけ早く60秒間と、ゆっくりとした昇降を交互に、3回行ってもらうというもの。このシンプルな運動でも、6週間続けると最大酸素摂取量は7%改善した。階段昇降を短い時間だけ行った場合にも、十分ではないにしても運動の効果を得られることが確かめられた。
運動はどんな治療薬よりも効果のある最良の薬
Brief Intense Stair Climbing Improves Cardiorespiratory Fitness(Medicine & Science in Sports & Exercise 2017年2月7日)
(Terahata)