骨粗鬆症を予防するための6つの対策 40歳過ぎたら骨を強くする対策を

2016年11月25日
 骨粗鬆症は、女性や高齢者に多い病気だが、若い世代でも発症する可能性がある。骨質を高め、骨折を防ぐために、6つの生活スタイルが役立つ。
骨粗鬆症が寝たきりの原因に 骨折は3秒に1回発生
 10月の「世界骨粗鬆症デー」に、国際骨粗鬆症財団(IOF)は、骨の健康を守り骨粗鬆症を防ぐために、いますぐに行動を起こすよう呼びかけた。

 骨粗鬆症は、生活スタイルや体質が原因になり、骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気だ。最初は自覚症状はないが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合がある。

 世界の骨粗鬆症の有病者数は2億人と推定されており、3秒に1回の割合で骨折が発生している。腰や背中に痛みが生じて、医師の診察を受けてから骨粗鬆症がみつかるケースも多い。

 骨粗鬆症と骨折による障害が起こりやすいのは、閉経後の女性だ。50歳以上の女性の3人に1人は骨折の危険性が高いという。

 「骨粗鬆症による骨折は寝たきりを増やし、生活の質(QOL)を著しく低下させます。老齢期に自立して生活できなくなる原因の多くは骨粗鬆症による骨折です」と、IOF理事長で英国のエディンバラ大学教授のジョン カニス氏は言う。

 大腿骨や尾てい骨を骨折すると、1年間に3人に1人が養護施設などで介護を必要とするようになる。45歳以上の女性が骨粗しょう症で骨折すると、多くは入院が必要となり、その期間は糖尿病、心臓病、乳がんなどの病気よりも長いという。
骨の健康を維持するために今すぐ行動を
 骨粗鬆症は、骨吸収(骨が溶ける)と、骨形成(骨を作る)のバランスが崩れることで発症する。閉経後の女性は、骨形成に対して骨吸収が優勢になり、骨質が低下しやすいという。

 「女性の健康において、骨粗鬆症は特に深刻な病気です。多くの女性は、加齢にともない骨粗鬆症のリスクが上昇することを知らず、予防措置をとっていません」と、カニス教授は注意を促している。

 「女性は家族や共同体、地域社会の柱です。40歳以上の女性は、将来にわたり生活の質と自立した生活を享受するために、骨の健康を維持するために行動を開始するべきです」と指摘している。
6つの対策で骨粗鬆症を予防
 国際骨粗鬆症財団は、骨質を高め、骨折を防ぐために、次の生活スタイルを勧めている。

・ 体重をコントロールする

 肥満は骨粗鬆症の危険因子となるが、やせも骨粗鬆症の発症リスクを高める。ダイエットをして体重が急激に減ると、骨粗鬆症のリスクが高まる。ダイエットで栄養が不足すると、必要なカルシウムの摂取量も減少する。

 女性220万人年を対象としたコホート研究では、やせは大腿骨近位部骨折と骨粗鬆症性骨折のリスクを上昇させることが明らかになった。BMI(体格指数)が18.5以上25未満の標準体重を維持することが重要だ。

・バランスの良い食事

 カルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品をとることが大切。カルシウムは乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草などに多く含まれる。ビタミンDはカツオ、サケなどの魚類、卵、キノコ類などに含まれる。

 ブロッコリーやホウレンソウ、納豆などに含まれるビタミンKにも、骨を作る働きを促す作用がある。不足しないようしたい栄養素だ。

 骨粗しょう症対策にはカルシウムを1日700~800mgとることが推奨されている。毎日の食事で、200mg(牛乳1本分)を多く摂取することを心がけよう。

・骨を強くする運動

 骨を丈夫にするために、食事と同じくらい運動が大切になる。運動や身体活動を活発に行うと、骨粗鬆症性による骨折を防げることが多くの研究で確かめられている。

 年齢を重ねるとともに運動ははますます重要になる。ウォーキングなどの有酸素運動に筋力トレーニングを取り入れると、いっそう効果的だ。

 閉経を迎えた女性がウォーキングなどの運動をすると腰椎骨密度が上昇し、さらにジョギング、ダンス、ジャンプなどのより負荷の大きい運動をすると大腿骨近位部骨密度が上昇することが確かめられている。

・たばこを吸わない

 喫煙は骨粗鬆症のリスクを高める。男女25万人年を対象とした調査では、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、大腿骨近位部骨折のリスクが2倍近く上昇することが明らかになった。禁煙をすれば骨折のリスクは下げられる。

・過度のアルコール摂取に注意

 過度のアルコール摂取も骨粗鬆症のリスクを高める。エタノール換算で1日に24g以上を摂取している人は、大腿骨近位部骨折のリスクが70%上昇する。

 体重の少ないやせた女性ほど、アルコールの弊害を受けやすいので注意が必要だ。なお、適度な飲酒をしている人では、骨粗鬆症のリスクが低下するという報告もある。

・検査を定期的に受ける

 40歳を過ぎたら、医師に骨の健康状態を評価してもらうことも必要だ。

 健康診査や保健所などで広く用いられている「超音波法」は、かかとの骨に超音波をあてて、超音波が骨の中を通り抜ける速度を測定する検査法。

 エックス線を使わないので妊婦でも測定可能で、比較的簡単に骨量を測定できる。骨粗鬆症の心配があるかどうかを大まかに調べる(スクリーニングする)ことができる。

 一方、「DXA」(デキサ)はより精密な検査法だ。骨に2種類のエックス線をあてて、エックス線の吸収率から骨量を測定する方法で、腰椎や大腿骨の海綿骨や、手首などを測定する。

 骨量変化が海綿骨に現れやすい若い女性や、閉経直後の女性にも適した測定方法で、病院などで広く精密検査に用いられている。

 治療が必要と診断された場合は治療を開始しよう。現在は多くの種類の骨粗鬆症の治療薬が使用されている。

Don't underestimate the danger of osteoporosis, warns IOF(国際骨粗鬆症財団 2016年10月20日)
(Terahata)