「ソーシャル・ウォーキング」で認知症を予防 運動と社会参加を両立

2016年10月07日
 息がはずむ程度のウォーキングなどの有酸素運動が、血流の循環を促進し、脳内の血流もよくなり認知症の予防に効果があることが多くの研究で確かめられている。さらに認知症を防ぐ原動力になるのは、人々が社会に参加し目的をもって生きることだ。
 認知症予防に向けた2つのアプローチを結び付けた「ソーシャル・ウォーキング」を、東京都健康長寿医療センター研究所などが考案した。
外出は認知症予防のいちばんの処方箋
 「ソーシャル・ウォーキング」は、東京都健康長寿医療センター研究所の監修のもと、ユニ・チャームが考案した、手軽にできる「生理的アプローチ」であるウォーキングに、目的をもって社会と触れ合う「認知的アプローチ」を組み合わせた認知症予防プログラム。

 「ソーシャル・ウォーキング」とは、「社会参加&歩行」の造語で、人と関わり、楽しみながら歩くことを誰もが取り組みやすいかたちにした認知症予防のためのウォーキングだ。

 このウォーキングでの「ソーシャル」は、ボランティア活動や地域活動など直接的な「社会参加」に加え、歴史や自然に触れたり、地域の隠れた名店を探したり、誰かとおしゃべりをしたり、「社会参加のきっかけ」になることを含む。

 「社会参加」そのものに認知機能の低下を予防する効果があることに加え、ウォーキングに社会参加という目的を持たせることで、ウォーキングを習慣化させることも狙いとしている。

 認知的アプローチとしての「ソーシャル」には、▽社会での役割を持つ:仕事、地域活動、ボランティアなどに継続的に参加し外出を習慣化する、▽外出の楽しみを持つ:地域の名所・名店探し、地域のイベントへの参加、犬の散歩、浮世絵・古地図の今昔比べなどが含まれる。

 生理的アプローチとして「ウォーキング」は、▽「生活歩行」と「15?30分のしっかり歩行(歩幅広め、速歩き)」を週3日程度実施するのが基本。▽ウォーキングの応用として、ポールを活用し、通常の1.2?1.4倍の効果を得られる「ノルディック・ウォーキング」を推奨している。ポールで体を支えられので、足腰に不安がある高齢者でも、安定してウォーキングに取り組める。

 「ソーシャル・ウォーキング」体験会も10月に開催する。体験会では、東京都健康長寿医療センター研究所の講師による認知症予防に関する講演を実施。その後、各地の公園でウォーキングも体験できる。普段運動しない人でも取り組みやすい内容となっているという。
ユニ・チャーム ライフリーサイト
東京都健康長寿医療センター研究所
(Terahata)