特定健診をデータヘルス解析 肥満者はやはり健康リスクが高い
2016年06月30日
健康保険組合連合会
2014年度に特定健康診査を受診した326万4,499人(433組合)が抱える健康リスクをみると、肥満の人(36.9%)は、肥満でない人(63.1%)に比べ、特定保健指導の受診勧奨レベルに達している割合が高く、生活習慣病の治療を受けている割合も高いことが、健康保険組合連合会(健保連)の調査分析で明らかになった。
2014年度に特定健康診査を受診した326万4,499人(433組合)が抱える健康リスクをみると、肥満の人(36.9%)は、肥満でない人(63.1%)に比べ、特定保健指導の受診勧奨レベルに達している割合が高く、生活習慣病の治療を受けている割合も高いことが、健康保険組合連合会(健保連)の調査分析で明らかになった。
肥満者の半数以上は治療が必要 10人に1人は保健指導が必要
健康保険組合連合会(健保連)はデータヘルス計画を積極的に策定しており、今回の調査では2014年度に特定健康診査を受診した326万4,499人を対象に、検査値と健康状態にどのような傾向があるかを分析した。結果を「健診検査値からみた加入者(40-74歳)の健康状態に関する調査分析」として公表した。
解析の結果、肥満の人は特定保健指導の受診勧奨レベルに達している割合が高く、生活習慣病の治療薬を服用している割合も高かった。肥満の人は血圧・脂質・血糖・肝機能のうち複数の健康リスクを抱えている割合も高かった。
まず全体像を見ると、全体の63.1%に当たる206万699人が「非肥満」、36.9%に当たる120万3,800人が「肥満」と判断された。肥満の判定基準は「内臓脂肪面積が100㎠以上、またはBMIが25以上」、内臓脂肪面積の検査値がないときは「腹囲 男性85cm以上 女性 90cm以上、またはBMIが25以上」とした。
非肥満者では、血圧・脂質・血糖・肝機能の4つの健診項目が「基準範囲内」となっている割合がもっとも多く32.3%、「保健指導基準値以上」が15.7%、「受診勧奨基準値以上」が6.7%、「服薬投与」が8.4%だった。
これに対し肥満者では、「基準範囲内」が6.7%、「保健指導基準値以上」が10.8%、「受診勧奨基準値以上」7.8%、「服薬投与」が11.6%だった。肥満者の半数以上は治療が必要で、10人に1人が保健指導を必要とする計算になる。
肥満者と非肥満者で、▽血圧、▽脂質、▽血糖、▽肝機能―の4項目に関するリスク保有状況をみると、肥満者のほうに高リスク保有者が多いことが示された。
肥満者は複数の検査で異常値が出やすい
「非肥満」の判定を受けた人のうち、検査で「保健指導判定値」が出た人は71万9,000人。リスク項目別割合をみると、もっとも高い割合を示したのは、(1)「脂質」37.7%で、次いで(2)「血糖」11.9%、(3)「血圧」8.8%となった。
一方、「肥満」の判定を受けた人のうち、検査で「保健指導判定値」が出た人は78万3,800人。リスク項目別割合をみると、もっとも高い割合を示したのは、(1)「脂質」33.9%で、次いで(2)「血糖」15.3%、(3)「血圧・脂質」10.9%となった。
「非肥満」で「要保健指導」と判定された人のうち「脂質」「血圧」およびその両方の異常が指摘された人は52.2%だったが、「肥満」と判定された人では60.1%に増える。「肥満」の人では4項目の複数の検査値の異常が重なる人も多かった。
年齢・業種・扶養家族などの条件で保健指導は変わる
業態別にみると、「肥満者」が多い業種は、▽建設業(50.0%)、▽運輸業(46.5%)、▽その他のサービス業(45.7%)、▽金属工業(44.0%)、▽卸売業(43.0%)。逆に少ないのは▽労働者派遣業(22.4%)、▽繊維製品製造業(27.6%)、▽医療・福祉(28.1%)。
また、被保険者・被扶養者別、年齢階級別に、脂質に関するリスクの程度をみたところ、55~64歳の被扶養者で受診勧奨基準値以上の人が多く、逆に40~49歳の被扶養者では基準値範囲内の人が多いことが分かった。
(Terahata)