睡眠時無呼吸を治療しても体重が増える 保健指導を行わないと効果なし
2016年03月16日
肥満により睡眠時無呼吸症候群になりやすくなることが知られているが、治療によってさらに体重が増えやすくなることが京都大学の研究で分かった。保健指導を併せて実施する必要性が示された。
睡眠時無呼吸を治療しても体重コントロールに悩む患者が多い
睡眠時無呼吸症候群には、持続性陽圧気道(CPAP)による治療が有効とされている。現在、日本には300~500万人の睡眠時無呼吸症候群患者がいると推定されており、CPAP治療患者は約40万人。そのうち6~7割は肥満あるいは過体重だ。
体重を適正に管理する必要があることは明らかだが、最近の研究では、睡眠時無呼吸がCPAPで良くなった後も体重のコントロールに悩む患者が少なくないことが分かってきた。
そこで、京都大学の研究チームは、睡眠時無呼吸症候群と診断された63人(平均年齢60.8歳)の患者を対象にCPAP治療を行った後、3ヵ月間追跡して調査した。
治療前後でのエネルギーバランスの変化と、それに関係する因子について総合的な検討を行なった。その結果、交感神経活動の低下などにより、治療後に基礎代謝が約5%低下し、エネルギー消費量が減る、つまり「省エネ体質」になることが判明した。
基礎代謝量が減っているにもかかわらず、治療後の身体活動量が変わらない場合、食事で同じエネルギー量を摂取していると、容易に体重が増えてしまう。
食生活についての保健指導を治療前に実施することが重要
研究チームが食行動を7つのカテゴリーで評価し、体重が増える患者と増えない患者とを比較したところ、食行動が乱れている人は過食から体重増加を起こしやすく、食生活・食行動の改善を伴っていた人では体重が増えないことが判明した。
(Terahata)