1日25分のウォーキングで寿命が7年延びる 運動が遺伝子を変える
2015年09月10日
1日に25分間の活発なウォーキングを続けると、寿命が最大で7年も延びる可能性があるという研究結果が発表された。ウォーキングは心臓病の発症リスクも低下させるという。
運動のアンチエイジング効果は大きい
運動のアンチエイジング(抗加齢)の効果は大きいという研究結果が、欧州糖尿病学会の年次学術集会で発表された。ウォーキングなどの適度な運動を毎日行うことで、寿命を3~7年延ばすことができるという。
運動には、うつ病を防いだり、認知機能を改善し認知症の発症を遅らせる効果があることが、過去の研究で確かめられている。
英国のセントジョージズ大学の心臓病専門医のサンジェイ シャルマ教授は、遺伝子と心臓病の関連を調べる研究を行っている。
「年齢や体のコンディションに関わらず、運動はすべての人に恩恵をもたらします。20~25分の活発なウォーキングを毎日行うことで、遺伝子に変化が起こり、老化のプロセスを遅らせることができる可能性があります」と、シャルマ教授は言う。
研究に参加した50~60歳代の男女は、適度な強度のウォーキングなどの有酸素運動、インターバルトレーニング、筋肉トレーニングを6ヵ月、継続して行った。研究チームは、運動が参加者の遺伝子にどのような変化をもたらすかを調べた。
運動が老化現象を引き起こす遺伝子を変える
「テロメア」は細胞に備わった"靴ひもの先端"のようなもので、遺伝情報を保護する役目を担っている。テロメアによって細胞の分裂回数は制限を受ける。テロメアの長さは年齢によって一律に決まっておらず、さまざまな生活スタイルによって変化すると考えられている。同じ年齢であっても、テロメアの短い人は、心臓病やがん、2型糖尿病などになりやすいことが分かっている。
研究チームはテロメアと、酸化ストレス(体内の活性酸素などによって細胞に与えられるダメージ)に反応して老化のプロセスを引き起こす「p16」と呼ばれる遺伝子を調べた。その結果、1日に20~25分のウォーキングを6ヵ月続けた人では、テロメアが活発化して、p16が減少することを突き止めた。
また、「心房細動」は、心臓の拍動に異常があらわれる不整脈で、心房から血液をうまく送り出せなくなるため、心房内で血液がよどみ、血栓ができやすくなる。心房細動があると脳梗塞や心不全の発症リスクが上昇する。
運動習慣をもたない人70歳の高齢者でも、ウォーキングを始めることで、心房細動のリスクが低下することが過去の研究で明らかになっている。
1日25分のウォーキングで体が変わる
「歩くと20分ほどかかる離れた場所に向かうときに、もしも時間に余裕があるのなら、車や電車を使わずに努めて歩くことを考えるべきです」と、シャルマ教授は言う。
体を動かすことの少ない生活スタイルをもつ人でも、シンプルな工夫をすることで運動量を増やすことができる。心臓病のリスクがある人でも、会話をしたり歌えるぐらいのゆっくりとしたペースであれば、ウォーキングがコンディションを悪化させることは少ないという。
運動の恩恵を得るために、ウォーキングなどの活発な運動を、1日に20~25分、毎日行うことが必要だ。また座りがちなライフスタイルを見直したり、健康的な食事をとることが必要となる。
運動はメンタル面にも良い影響を及ぼす。体を動かすことで落ち込んだ気分を改善させる効果もあるという。
毎日が忙しく、運動をする時間をとれないという人でも、1日25分であれば実行が可能ではないだろうか。ぜひウォーキングに挑戦してみてはいかがだろう。
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(TERA)