乳がんリスクを下げる対策法 座ったまま過ごす時間を減らし運動
2015年07月27日
女性は座ったまま過ごす時間を減らすと、乳がんなどのリスクを下げられることか、米国の大規模研究で明らかになった。カナダの研究では、ウォーキングなどの運動を週に5時間行うと、乳がんを予防する効果が高まることが判明した。
座ったまま過ごす時間が長い女性はがんの発症リスクが高い
余暇時間に座ったまま過ごす時間が長い女性は、乳がんなどの発症リスクが高くなるという調査結果が発表された。余暇時間に座ったまま過ごす時間を1日に3時間以下に減らすと、がんリスクを下げられるという。
調査は、余暇時間のうち座ったまま過ごす時間が6時間以上の女性は、3時間以下の女性に比べ、浸潤性乳がんの発症リスクが10%、卵巣がんの発症リスクが43%、多発性骨髄腫の発症リスクが65%、全部位のがんの発症リスクが10%、それぞれ上昇するという結果になった。
「乳がんなどを予防するめたに、女性は座ったまま過ごす時間をなるべく減らし、ウォーキングなどの運動をするべきです」と、米国がん学会のアルパ パテール氏は強調している。
座ったまま過ごす時間を減らす工夫
パテール氏は、座ったまま過ごす時間を減らす工夫として、次のことを生活に取り入れるようアドバイスしている――▽洗濯などの家事は立って行う
▽電話をするときは立ち上がる
▽テレビのコマーシャル時間に立ち上がる
▽駐車場に車を駐めるときは、目的地からなるべく離れた場所を選び歩くようにする
▽もしも会社などで責任のある立場にあるのなら、短いミーティングは立って行うようにする
▽仕事の合間に1~2分立って過ごす時間をとり、休憩時間にはウォーキングをする 研究チームは、米国で実施されている大規模調査「がん予防研究II」のデータを解析した。調査には7万7,462人の女性と、6万9,260人の男性が参加した。平均して女性は15.8年、男性は13.2年間、追跡して調査し、1992~2009年に1万2,236人の女性と1万8,555人の男性ががんと診断された。
週に5時間の運動を続けると乳がん予防の効果を得られる
内臓脂肪を減らせばがんリスクを下げられる
「アディポネクチン」は脂肪細胞から分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)のうち善玉物質のひとつ。また、「レプチン」は脂肪を燃やし、エネルギーの消費を促す作用のあるアディポサイトカインだ。
アディポネクチンとレプチンは、がんの発症に影響していると考えられている。内臓脂肪が増えれると、これらのアディポサイトカインの分泌量が相対的に減ったり、働きが悪くなってしまう。
「閉経後の女性は肥満になりやすく、肥満は乳がんのリスクを高めます。週に300分の運動を行った女性では、内臓脂肪が減り、がん予防の効果のある生理活性物質が増えていました」と、アルバータ医療サービスのクリスティーン フリーデンライヒ氏は説明する。
「乳がんを予防するために、閉経を迎えた女性は、ウォーキングなどの運動を週に300分、1日平均40分行うことが勧められます」とアドバイスしている。
Sitting Too Much Increases Cancer Risk in Women(米国がん学会 2015年7月16日)Leisure-time spent sitting and site-specific cancer incidence in a large US cohort(Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention 2015年6月30日)
Effects of a High vs Moderate Volume of Aerobic Exercise on Adiposity Outcomes in Postmenopausal Women: A Randomized Clinical Trial(JAMA Oncology 2015年7月16日)
(TERA)