20分の筋力トレーニングで内臓脂肪を減らす ウォーキングより効果的

2015年03月06日
 筋力トレーニングを1日20分行うと、有酸素運動のみを行う場合に比べ、お腹周りの脂肪を減らすのに効果的であることが、米国のハーバード公衆衛生大学院の研究で判明した。
毎日の運動に筋力トレーニングを加えると効果的
 減量するためには、ウォーキングなどの有酸素運動を行うのが基本だが、筋力トレーニングを加えると効果的だ。筋肉が増えると基礎代謝が上がり、消費エネルギー量も増える。

 「内臓脂肪を減らすために、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて行うと効果的であることが明らかになりました。運動は1日20分だけでも効果がありますが、毎日続けることが必要です」と、ハーバード公衆衛生大学院のラニア メカリィ氏(栄養学)は言う。

 研究チームは、医療従事者を対象とした大規模調査(1996~2008年)に参加した、40歳以上の男性1万500人を12年間追跡し、身体活動や胴囲、体重の変化を調査した。

 ウォーキングなどの中強度の有酸素運動を1日30分行ったグループは、調査開始時に比べ腹囲を平均0.33cm減らしたが、筋力トレーニングを1日20分行ったグループは0.67cm減らした。

1日20分の筋力トレーニングが内臓脂肪を減らす
 一方、運動をしないで、テレビなどを視聴し座ったまま過ごしたグループは、腹囲を平均0.08cm増やしていた。

 「1日30分テレビを観るかわりに、1日20分の筋力トレーニングを行えば、腹囲を減らし、内臓脂肪を減らすことができたはずです。内臓脂肪がたまった状態では、たとえ血糖値や血圧がそれほど高くない場合でも、動脈硬化などのリスクが高くなります」(メカリィ氏)。

 おへそを通る高さで腹囲をはかれば、内臓脂肪の蓄積状態を調べられる。腹囲をはかることは、健康状態を知るための良い指標となる。体重のみをはかるのに比べ、より良い効果を期待できるという。

 筋力トレーニングを続ければ、「サルコペニア」を効果的に予防できる。サルコペニアとは、加齢とともに筋肉の量が減少し機能が低下した状態を指す。一定以下まで筋肉量が低下すると、日常生活の動作が制限される。簡単な筋力トレーニングで、サルコペニアの進行を抑えられる。

 「1日20分の筋力トレーニングでも、続ければ内臓脂肪を減らす効果を期待できます。運動ジムに通って専用の器具を使わなくとも、身近な道具を使い筋力トレーニングを行うことは可能です」と、メカリィ氏はアドバイスしている。

スクワットで脚の筋力を高める(20回)
 机が正面になるように立ち、両手を机に置く。つま先を外に向けて足をハの字に開き、背筋をまっすぐに保つ。ゆっくりとひざを曲げ、元に戻す。呼吸を止めないように意識して行う。ひざに痛みが起こる場合は、ひざを曲げる角度を小さくするなどして、痛みが出ない範囲で行う。

Using weights to target belly fat(ハーバード大学 2014年12月22日)
Weight training, aerobic physical activities, and long-term waist circumference change in men(Obesity 2015年2月)
(TERA)