年末年始の「体重増」「だるい」は危険なサイン 4つの対策で肝臓を回復
2015年01月05日
年末年始に飲食の機会が増えて、いつも以上に食べ過ぎてしまったという人が多いのではないだろうか? 「体重が約3kgも増えた」「身体が重く感じられ、なんとなくだるい」と感じている人は、アルコールを飲む習慣がなくても、肝臓がダメージを受けているおそれがある。
「なんとなくだるい」という人は要注意 肝臓障害のサイン
肝臓は、食べ物から吸収された栄養を代謝したり、蓄える働きをしている臓器だ。食事で摂取したブドウ糖や脂質を代謝し、エネルギー源として使われないものは脂肪として蓄えられる。
肝臓に脂肪がたまりすぎると「脂肪肝」になりやすい。脂肪肝は肥満の人に多いのが特徴だが、痩せている人でもなる危険性がある。
自分が脂肪肝を発症しているかを知るために、健康診断を積極的に受けることが勧められる。血液検査で肝臓の状態に異常があると、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像検査が行われる。画像検査では、脂肪肝の場合は脂肪がたまっているため白っぽく写り、その程度などが分かる。
自覚症状から脂肪肝を知る方法もある。体重が増えて「なんとなくだるい」というのは、脂肪肝のサインである可能性がある。放置していると、肝臓の細胞に炎症が起き、肝臓の細胞が死んでいく「肝炎」に進展するおそれがある。早めに健診を受けることが勧められる。
最初は炎症を起こしても再生機能により肝臓の機能は保たれるが、ある期間を超えると肝臓は硬くなる。それが肝硬変。肝硬変まで進行すると回復は難しくなる。
アルコールを飲まない人でも、それらを原因とする脂肪肝や肝炎を発症するケースが増えている。大量飲酒が原因ではない肝炎は「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」と呼ばれる。
NASHには初期の段階では自覚症状はほとんどないが、「なんとなく体がだるい」「疲れやすい」「吐き気がする」「腹が張る」などの症状が現れる場合がある。こうした予兆を見逃さないことが大切だ。
体重を3kg減らすだけで肝臓を改善する効果がある
週5回のウォーキングで肝臓を健康な状態に戻す
米国肝臓財団によると、年末年始のホリデーシーズンに増えてしまった体重を、生活習慣を見直して元に戻せば、脂肪肝も良くなる。BMIを「1」下げると、肝機能が改善するとの研究報告もある。増えた体重をそのままにしておかないことが、体調管理をする上で重要だ。
いったん肝硬変や肝がんまで進んでしまうと、肝臓を健康な状態に戻すことはできない。しかし、脂肪肝やNASHの状態であれば、健康な状態に戻すことは十分に可能だ。そのためには、食事や運動など、生活習慣の見直しが大きな鍵となる。
米国肝臓財団は、年末年始の過食や運動不足から肝臓を守る方法として、次のことを勧めている。
・ 脂肪の摂り過ぎに注意肉類の脂身を避ける。フライドチキンなどの揚げ物は特に高カロリー。天ぷらにも植物性油が使われているので注意する。 ・ 間食を避ける
お菓子や清涼飲料水などに多く含まれる果糖は、摂取すると中性脂肪となって肝臓に蓄積されやすい。間食も、1回の量が少なくても、繰り返すと余分な糖質や脂質を摂取することになる。ケーキやチョコレートなどの間食は、1日1個など制限を設ける。 ・ ウォーキングなどの有酸素運動を続ける
「運動の習慣がない人」は、肝臓にたまった脂肪を消費することができないため、脂肪肝になりやすい。脂肪肝を改善するのに効果的なのはウォーキングなどの有酸素運動だ。肝臓の脂肪は比較的短時間の運動でも燃焼する。ウォーキングであれば1回30分間、週に5回ほど行うのが目標だ。 ・ ブロッコリーなどの野菜を食べる
野菜に含まれる「スルフォラファン」は肝臓の機能を高める効果があると注目されている。スルフォラファンは、ブロッコリーやキャベツ、カリフラワーやケールなどのアブラナ科の野菜に多く含まれる。食事の最初にブロッコリーなどを含むサラダをノンオイルドレッシングで食べると効果的だ。 Non-Alcoholic Fatty Liver Disease(米国肝臓財団 2014年11月15日)
(TERA)