「有酸素運動」と「レジスタンス運動」を組合せると効果は最大に

2014年09月12日
 糖尿病の運動療法は、「有酸素運動」と「レジスタンス運動」を組合せ行うと効果的であることが、900人以上の2型糖尿病患者を対象とした調査で明らかになった。

 研究チームは、運動療法に関する14件の研究の2型糖尿病患者915人のデータを解析した。この研究は、欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌「ダイアベトロジア」に発表された。
2種類の運動を組み合わせるとHbA1cや血糖値が低下
 「有酸素運動とレジスタンス運動のどちらも、血糖コントロールを改善しますが、もっとも理想的なのは、2種類の運動を組み合わせて行うことです」と、研究を主導したウィーン大学のルーカス シュビングシャクル氏は言う。

 「有酸素運動」は、ウォーキングやサイクリング、水泳など、酸素が必要な負荷が軽い運動を行う運動。呼吸を行いながら筋肉を動かす、血糖や脂肪が酸素とともに使われることから、「エアロビクス運動」とも呼ばれる。

 一方、スクワットやダンベル体操など、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返す運動が「レジスタンス運動」。

 スクワットのような自分の体重を利用して行う運動を行うときは、しゃがみ込む深さを調節する、机などに手をついて行う、何かを持って行うなどの工夫で負荷の調節ができる。

 今回の研究では、2種類の運動を組み合わせて行うと、HbA1cや空腹時血糖値、血圧値、中性脂肪値などがより低下することが明らかになった。

 2種類の運動を行うと、有酸素運動のみを行った場合に比べ、HbA1cは0.17%低下し、空腹時血糖値は10.6mg/dL低下した。筋力トレーニングのみを行った場合に比べると、HbA1cは0.62%低下し、空腹時血糖値は35.8mg/dL低下した。

運動を続けるとエネルギーを消費しやすい体に変わっていく
 レジスタンス運動を続ければ、筋肉量や筋力が増加し、インスリン抵抗性が改善し、インスリンの効きやすい体に変わっていく。さらに、有酸素運動は、全身の筋肉を使うことで、血糖値が短時間で下がり、コレステロールや中性脂肪、体脂肪を減らすことができる。

 「医療スタッフの指導を受けながら運動をすると、最大の効果を得られることが分かりましたが、実際には指導を受けられている患者は少数です。多くの患者は、十分な運動を行っていません」と、シュビングシャクル氏は説明する。

 「30分のウォーキングを週3回行っているのに体重が減らない」といった悩みをもつ人が少なくない。体重が減らない理由は、運動で消費するエネルギー以上にたくさん食べていること。そういった場合には、運動時間を増やしたり、運動強度を増やして、運動量を増やす必要がある。

 「運動を続けることで基礎代謝が向上し、消費エネルギー量も増えます。そして血糖コントロールの改善効果が高まります」(シュビングシャクル氏)。

Impact of different training modalities on glycaemic control and blood lipids in patients with type 2 diabetes: a systematic review and network meta-analysis(Diabetologia 2014年7月5日)

(TERA)