ガーデニングの有用性 野菜や果物を育てると心身に良い効果

2011年06月24日
 参加型のコミュニティガーデンは、より健康的な食習慣や身体活動を促すだけでなく、住民の地域参加を呼びこみ、地域コミュニティにも良い効果があるという研究が米国で発表された。
ガーデニングは適度な運動になる 運動時間が1.3倍に
 子供の頃に屋外で泥まみれになって遊んだのを懐かしむ中高年は多い。両手を泥だらけにして、セミをとったり、花の香りをかぎ鼻を花粉まみれにした体験は成長してから楽しい思い出となる。しかし、特に都市で暮らす現在の子供たちの多くは、清潔な環境にいても、太陽の日差しを浴びながら土まみれになって遊ぶ機会が少ない。

 コミュニティガーデンは、都市部に設けられた、住民が余暇時間に野菜や果物を栽培できる、規模が比較的小さい共同農園。「コミュニティガーデンを活用すれば、身体活動を増やす機会が増え、健康増進が促される」という研究が米国で発表された。

 米コロラド州立公衆衛生大学院のJill Litt氏らは、地域での健康増進などを向上する都市計画を開発する研究を行っている。この研究は2006?2007年に行われ、対象となったのはコロラド州デンバー在住の436人。マルチレベル分析で解析した結果、1日に20分間のガーデニング作業が、食事や運動に対し良い効果をもたらすことが確かめられた。

 米国の食事ガイドラインでは、野菜と果物を1日5回とることが推奨されている。野菜の摂取回数は、ガーデニング参加者で1日平均5.7回だったのに対し、非参加者は3.9回だった。野菜と果物の推奨量を満たした人の割合は、ガーデニング参加者が56%だったのに対し、非参加者は25%にとどまった。また、適度に活発な身体活動に費やした時間は、ガーデニング参加者は週に12時間以上だったが、非参加者は9.5時間で、ガーデニングを行った群で多かった。

 「都市部にガーデニングのできる地域を設けると、都会に自然がもたらされる。自分で野菜や果物もつくると、食生活や運動もより健康的に改善できることが示された」とLitt氏は話す。

 地域のコミュニティガーデンは、日常に豊かさをもたらし、活発で健康なライフスタイルを促進するだけでなく、地域社会においても良い効果を期待できるようだ。Litt氏らはデンバーの29ヵ所のガーデンサイトで、約70人にアンケート調査を行った。

 「花、ハーブ、果物、野菜などを育てるガーデニングに取り組む人からは、ガーデニングは自然や環境と対話する方法になるだけでなく、地域でのコミュニケーション改善にも役立つとの意見が多く寄せられた。民族、収入、学歴、年齢の多様な米国社会においても、共同で行うガーデニングは地域コミュニティに良い効果をもたらすことが示唆された」と述べている。

 この研究は「米国公衆衛生雑誌(American Journal of Public Health)」オンライン版に6月16日付で発表された。

日本でも市民参加型の農園が増加

 日本でも都市部を中心に、サラリーマン家庭や都市住民がレクリエーションとして活用できる、小面積の農地を利用した「市民農園」が整備され、その数は年々増えている。野菜・花の栽培、高齢者の生きがいづくり、生徒・児童の体験学習などを目的とした市民農園は、レジャー農園、ふれあい農園など、さまざま名称で利用されている。
 市民農園は、平成17年からは、地方公共団体や農業協同組合以外でも開設できるようになった。都市住民が自宅から通って利用できる日帰り型の市民農園や、農村に滞在しながら農園を利用する滞在型の市民農園などがある。

市民農園をはじめよう(農林水産省)
全国市民農園リストが公開されている。

New research on community gardening reveals the roots of emotional and physical health(コロラド大学デンバー校 2011年6月21日)
The Influence of Social Involvement, Neighborhood Aesthetics, and Community Garden Participation on Fruit and Vegetable Consumption
American Journal of Public Health, First Look, published online ahead of print Jun 16, 2011
Connecting food environments and health through the relational nature of aesthetics: Gaining insight through the community gardeningnext term experience
Social Science & Medicine, Volume 72, Issue 11, June 2011, Pages 1853-1863