「ロコモ」問診票作成ツール公開 1日3分トレーニングでロコモ予防

2011年08月12日
 日本整形外科学会などが設置した「ロコモ チャレンジ!推進協議会」は、ロコモティブシンドローム(ロコモ、運動器症候群)の予防・啓発を行うため、問診票作成ツール「ロコモ問診票」をインターネットで公開した。
「ロコモチェック」で運動器の衰えのサインを知ろう
 高齢になり骨や関節、筋肉などの運動器の働きが衰えると、生活上の自立度が低下し、介護が必要となったり、寝たきりになる危険性が高くなる。50歳以降になると、入院治療が必要となる運動器障害が増えていく。運動器障害を予防し対策するために、40歳をすぎたら運動器がなるべく衰えないよう対策することが大切となる。

 「ロコモ問診票」は、自分がロコモかもしれないと不安を感じた人が、医療機関を受診するきっかけになったり、サポート役を果たすインターネットで閲覧できる問診票作成ツール。

 画面の指示に従って、「2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である」、「家の中でつまずいたり滑ったりする」といった7つの項目の答えることで、運動器が衰えているサインを知ることができる。

 最終的に整形外科医に渡せる問診票をプリントアウトすることができる。そのまま印刷して書き込める「ロコモ チェックシート」も公開されている。

 ホームページでは、ロコモの予防・対策に有用な運動法をイラストを用いわかりやすく解説した「ロコモーショントレーニング(ロコトレ)」も公開されている。

運動はロコモやメタボの予防・改善にも重要
 日本整形外科学会が2007年に提唱した「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」は、骨や関節、筋肉など運動器の障害により立ったり歩いたりが困難になり、要介護の危険性が高くなった状態をあらわす。ロコモは和文であらわすと「運動器症候群」となる。

 ロコモのリスクは加齢とともに高まる。同学会によると、日常的に介護を必要とせず、心身ともに自立して暮らせる期間を示す「健康寿命」は、2004年の日本人のデータでは男性72.3年、女性77.7年と世界トップだったが、高齢化を背景に要介護認定者数は増え続けているという。

 要介護認定者数は平成18年には440万人だったが、平成22年には500万人を超えた。75歳以上の人のほぼ3人に1人は、要介護認定者ということになる。国民生活基礎調査によると、要介護認定者の2割は運動器の障害に悩まされており、特に女性では3割近くが運動器疾患によるものだという。

 ロコモに特に関係が深いのは、膝(変形性膝関節症)、腰(変形性腰椎症)、骨の病気(骨粗鬆症)で、これらの疾患は高齢者に多い。国民健康・栄養調査によると、これらの推計人口は、高血圧や糖尿病、脂質異常症に匹敵する数になっている。

 特に深刻なのは腰痛。腰痛は運動や身体活動を妨げて、結果としてQOL(生活の質)も低下する。腰痛に関する全国調査によると、「治療を受けるほどの腰痛」を感じたことのある人の割合は男女ともに5割を超え、約1割は腰痛のために仕事を辞めるなど、生活にも悪影響が出ているという。

 日本整形外科学会では「運動はロコモやメタボの予防・改善に重要。最近では運動が認知症を予防することも報告されている。ロコチェックで運動機能の衰えを早めに察知して、ずっと“自分の足で歩ける!”を目標に、ロコトレでロコモ予防に努めてほしい。ロコトレは、スクワットや片足立ちを中心に、ウォーキングや水中歩行、水泳やテニス、卓球から太極拳、いろいろな運動を習慣的に続けることで行える」としている。

公益社団法人 日本整形外科学会
ロコモ チャレンジ!推進協議会
2007年国民生活基礎調査(厚生労働省)